玄関前の薔薇の花が開き始めた。二種類あってこちらはまだあまり開いていない方の花。こちらの花ビラの色の方が好きである。

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(20)で終わりにするつもりであった。流石に文章を書きたいという欲求は静まった。それに、写真について考えていたことがある程度纏まった。随分沢山書いたけれど((20)までで39,264文字)、「書かれた」内容はどうでも良いのである。あんなものは本当に雑文であって、たんなるおしゃべりに過ぎない。しかし、文章を書いている間私の脳の中はシャッフルされ続ける。そのことによって「意識」の「底」の方に沈んでいた「想い」が表層に浮かび上がってきた。それが書くことの目的である。

書いたことの”価値”は、生み落とされた文章の中には無くて、文章を書くという作業をしている間活発な活動をした脳が、私の心の奥の方にしまわれてた私の「想い」であるとか「欲望」を私に自覚させてくれた点にある。つまり、書かれた「文章」などにはさしたる価値は無く、私が「思考」したことに意義があるのである。

書くという行為を通じて、私は自分の頭の中で「ガラガラポン」を行ったと言うことである。そして、「ポン」と何かが飛び出してきた。だから、とりあえずもう書く「必要」は無くなった。4万字も書いたが、全文を読んだという人は数人だろう(2人は間違い無く読んでいると知っている)。しかし、ただの一人にも読まれていなかったとしても全く構わないのである。なぜなら、上に書いたように書かれた文章そのものに価値があるわけでは無いからである。結局、あの文章は私の頭の奥底を引っかき回すために書いたのであり、それは私自身の「必要」を満たすための行いであった。だから、誰一人読んでいなくても構わないのである。

私は、私自身のために文章を書いているのである。

と書いて、頭の中にポッと浮かんだことがある。(11)の中に「私自身の中では、写真を撮るという行為と文章を書くという行為は割と近いことだ」と書いた。それは本当にその通りで、両者は私にとってとても良く似たものだと想う。だとすると、上の文章の中の「文章を書く」という部分を「写真を撮る」に置き換えることが出来ると言うことだ。置き換えると次のような文になる。

私は、私自身のために写真を撮っているのである。

結局、4万字の文章を書いてもっともハッキリしたことはこのことであった。と書いて思い出したが、昨晩書いた(20)の中で「私は自分自身のために写真を撮っている」と書いてあるじゃないか。

昨晩遅く、Facebookのメッセージを使って千葉桜洋さんと対話した。千葉桜さんは私がブログで『指先の羅針盤』の写真が『日本カメラ』に掲載されたことを告知したことに対して、「ブログに丁重に取り上げて頂いて本当にありがとうございました」とお礼を言って下さった。我々は、千葉桜さんの写真を巡ってあれこれと意見を交換した。その話については、紙幅を改めてきちんと書いてみたいと思うので、ここでは「結論」の部分についてだけ書くことにする。

私がいろいろな思いを伝えると、千葉桜さんは次のように返事をくれた。

私はただ自分自身のために淡々と撮って焼いているだけなので…本当に。

なんとも奇遇なことに、その6時間前に私が(20)の中に書いた言葉は「私は自分自身のために写真を撮っている」であった。私が千葉桜さんと対話をしたのは(20)を投稿した6時間ほど後のことであったのである。

千葉桜さんの写真についてはきちんと纏めて「論評」を書かせて頂こうと想っているのでここではこれ以上語らないことにする。ただ、一言だけ言っておくと、彼の写真が本物であるもっとも大きな理由は、彼が「自分自身のために淡々と撮っている」からなのだと言って間違いない。

4万字の文章を書いた私の「指」が、最後に紡ぎ出した「結論」は「私は自分自身のために写真を撮っている」ということばである。そんなことは、1文字も書かなくたってわかっていることである。しかし、「何のために写真を撮るのか?」という問いを立て、考えられる限りのことを考えた上で、わかりきったことを再確認すると言うことには小さくない意義がある。自明と想われていることにたいして、「本当にそうなのか?」という疑問を抱くことは大切なことなのである。自分に対してたえず「疑義」を持っていない人間は成長しない。

私が「写真は自分自身のために撮るモノだ」という自明のことを再確認した6時間後に、私にとっていま一番素晴らしい写真家である千葉桜さんから「自分自身のために淡々と撮って」いるのだと告げられた。そうなのだ。一番大事なことはそこなのだ。

私は、「本物の写真」を撮るために一番大事なことは「ただ自分自身のために淡々と撮る」ことだと想う。



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by dialogue2017 | 2018-09-21 17:30 | 写真とカメラの話し | Comments(0)