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誌上レッスン(21)

あらかじめ結論を書いておくと、写真の「明るさ」「色合い」「コントラスト」は「好み」だということ。つまり、「これが正解」という"客観的な基準"はない。もちろん、「論外」な絵作りというのはあると思うけれど、「明るさ」「色合い」「コントラスト」は「好み」によって幅がある。「明るさ」に関しては、絵柄によって違ってくるけれど、たとえば君の撮ったこの写真を前提にして語ると、「明るめ」に表現したい人と、明るさを「抑えめ」に表現したい人とがいると思う。「色合い」はひとまず「色温度」をどうするかだと思うけれど、君の撮った写真は幾分「冷調」だと思う。ただ、少し冷調にした方が写真がスッキリ見える。言い換えると幾分冷調にした方が「透明感」が感じられるので好きは人は少なくないと思う。冷調の方が女性の肌が「白く」見えるので、女の子の写真としては好まれる傾向にあると思う。しかし、浴衣姿であることを考えるとちょっと「寒々しい」感じに見えると思う。

この写真に関して一番ポイントとなる点は「コントラスト」だと思う。一般的に女性ポートレートの場合低コントラストに仕上げるケースが多い。その方が肌が「柔らかく」表現されるし、「上品さ」が感じられるからである。そういう意味では、君のレタッチは「色合い」からは「透明感」が感じられるし、「コントラスト」からは「柔らかさ」と「上品さ」が感じられ、女性ポートレートの基本的な方向性に沿ったレタッチだと思う。

しかし、パッと見た時に「物足りない」イメージが強かった。なぜそう感じるのかとい言うと、コントラストを弱くしたため、肝心の女性が背景に溶け込んでしまっているからだ。ポートレートの場合、モデルと背景が「分離」している方が奇麗に見える。例えば、バックペーパーを背景にして撮る場合や、ハウススタジオのようなところで「スッキリした」背景をバックに撮った写真の場合コントラストを浅くしてもモデルと背景はかなりきっちりと分離される。なぜなら、背景がうるさくないからである。

この写真は背景がうるさい。もちろん、神社で撮っているということが分かること自体には全く問題はない。ただ、こういう写真の場合コントラストを落とすと、肝心のモデルが背景に溶け込んでしまい、くっきりと浮き出てこない。「背景」をきちんと「背景」として処理し、モデルが「引き立つ」ようにレタッチする方が良いと思う。「引き立つ」というのは言い換えれば「浮き出る」と言うことである。

以前に僕が白バックで撮った赤ちゃんを抱いた若いママさんの写真を題材に、トップライトのあるなしで写真がどれほど変わるかということを教えたことがあるけれど("これ”)、君がレタッチした写真では女性の髪の毛が幾分潰れ気味だ。いつどんなときでもそれがいけないというわけではない。ある程度つぶれている方が写真として見栄えが良いという場合もある。しかし、基本的には髪の毛が潰れずディティールが出ている方が奇麗に見える。君のレタッチしたオリジナルは髪の毛だけではなく耳から頬のあたりに掛けてがちょっとアンダーだ。少し「シャドー」を起こして上げた方が女性がくっきりと奇麗に見える。僕がレタッチした1枚目と君のオリジナルの2枚目の「女性の顔」だけをよく見比べて欲しい。ほんの少しシャドーを起こしただけなのだけれどこんなに変わるのである。なんども言ったように写真は「ほんの僅かの差」で大きく変わるのである。この点は肝に銘じておかないといつまでたっても進歩しない。何年撮り続けても「僅かな差」を乗り越えることができない写真愛好家があまりにも多い。なぜなら、初めからそういう「問題意識」がないからだ。肝に銘ぜよ!

「色合い」に関しては、君のオリジナルの写真の方が奇麗に見えなくも無いと思う。全体として「寒色」が多いので色温度が低めの方が「クール」な感じで心地よいかもしれない。ただし、やはりちょっと「寒い」感じは免れ得ないと思う。で、少しだけ色温度を持ちあげてみたが、この点はオリジナルの方が好きであればそのままでも構わないと思う。

ブラウザ上で比較しても今ひとつよく分からないと思う。上の写真をダウンロードして君のオリジナルと2枚をPhotoshopで開いた上で、2枚の写真を切り替えて見て見るとこの2枚の印象がそうとう大きく違うことが分かると思う。是非やってみて欲しい。

君のオリジナル写真はハイエストライトが若干飛んでいる。にもかかわらず写真に「明るさ」が足りないと思う。いかにも曇天の日に撮ったという写真である。とここまで書いて、色温度を全く弄らず、オリジナルの写真をトーンカーブで若干明るくしてコントラストを持ちあげ、そのあと、ハイライトを少し落とし、シャドーを少し持ちあげるという単純なレタッチをしてみた。その方が君の写真の「欠点」が分かりやすいと思ったので作ってみた。それが3枚め。君のオリジナルからレタッチするのに掛かった時間は15秒ほどである。ぱっと見で何が変わったか分かると思う。女の子が明るく浮き出て見えるはずだ。しかし、3枚目は白飛びしていないが2枚目のオリジナルはハイライトが少し飛んでいるのである。

先日も指摘したように、君の写真はあと少し明るさが足りないケースが多い。ハイエストライトが白飛びしていても"必要な部分”の明るさが足りないのである。今のカメラは性能が良いので撮りっぱなしでも綺麗な写真になることが少なくないが、ポートレートの場合なかなかそういう風にはならない。写真を見せるとき、「何処を見せるのか?」ということをまず考えるべきである。それから、「主題」と「背景」のコントラストは常に考えるべきだ。

僕自身は低コントラストの写真が好きなので、3枚目のコントラストより2枚目のコントラストの方が自分の好みには近い。しかし、やはりちょっと暗いし寒々しいし、モデルが背景に溶け込んでしまっている。「見せる」ということを考えたら2枚目より3枚目だろうと思う。ただし、この3枚目は所詮15秒レタッチである。1枚目と何処が違うかというと、女性の髪の毛の下の方の「三つ編み」の出方が違う。1枚目は40秒ほど掛けてレタッチしているのでそういう細かいところまで考えて弄っているということである。以上、参考になれば幸いである。

追記。この写真の場合、女の子の髪の毛のメッシュに染めたカラーと、可愛らしく編んだ三つ編みがわかるように撮ってあげるべきだ。女の子は頑張っておしゃれしているのである。女性の写真を撮るときには、そういう褒められたい部分を綺麗に撮ってあげることが大切なのである。僕の場合、知っている女性なら「髪の毛、可愛らしく編んだね」くらい言ってから撮る(笑)。女の子って、「見てほしい」部分を持っているんだよ。

※iPhoneのような小さなディスプレイでは違いがよくわからないと思うので、パソコンかiPadで見比べること

※ディスプレイによってコントラストの出方が変わる。コントラストが強めに出るディスプレイで見た場合、2枚目のオリジナルはそんなに悪くないと思う。繰り返すが、僕自身はこれくらいのコントラストが好きだ。ただ、この背景だとそれがマイナスになるということ。


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矛盾した話なのだが、上の3枚の写真を眺めていると2枚目のオリジナル写真のコントラストが一番心地よい。ただし、髪の毛が潰れているし肝心のモデルさんがどうも「沈んでいる」。で、他の部分は全く弄らずにオリジナルの髪の毛の部分だけシャドーを起こした上で露出も持ちあげコントラストを付けた。浴衣が白飛びしているのでハイライトを抑えた。それが下の写真。オリジナルから15秒レタッチだけれど髪の毛の明るさを変えただけでこれだけ変わる。

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Commented by shi-photo at 2019-07-14 23:24
遅くなってしまい申し訳ありません。レッスンありがとうございます。
見比べると、違いがはっきりと分かりますね。自分の写真に、薄暗さとやはり寒さを感じます。
写っている人に、もっと気遣いが出来ればというのは、特に思う所です。
何を見せるのかを明確に、その上でレタッチをしなければいけませんね。
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by dialogue2017 | 2019-07-10 16:00 | 誌上レッスン | Comments(1)