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Facebookへの投稿から(30)

【7月10日の投稿(10)】


⭐️この2冊だけは絶対に読んでおいた方が良い!


『言ってはいけない』『もっと言ってはいけない』(橘玲/新潮新書)。

抜群に面白かった。今年読んだ196冊のなかで面白かったという点では突出したナンバーワンである。

書名から想像するイメージとは異なり、極めて”学術的”な本である。ただし、「人間はみな平等」という20世紀的「常識」と大きな摩擦を産む論説である。ゆえに、「言ってはいけない」なのである。「リベラル」な社会においては「本当のこと」は言ってはいけないことになっているからである。

この2冊が扱っている内容は、最新の遺伝学の成果を柱として、主に人間の「知能」に関する「事実」を語っている。説明すると長くなるのでやめておくが、「人種によりIQに差がある」というきわめてセンセーショナルな内容である。センセーショナルである理由は、「人種差別」の根拠とされる恐れが大きいからである。

しかし、著者は差別主義者ではない。極めてノーマルなリベラリストである。著者は最新の遺伝学の成果を元に、進化論的観点から「人間」や「人種」について、沢山の研究成果とデータを基にした論考を行っている。

『言ってはいけない』に書かれている話については85%は知っている話だったし、残りの15%は初めて知る話であったが、私自身の仮説とほぼ一致していたためその内容に驚きはなかった。それでも、凄く楽しく夢中になって読むことができたのは、非常に良く書かれているからである。

続編である『もっと言ってはいけない』は「衝撃的」だった。もの凄く衝撃的だった。「プロローグ」を読んだだけで、「そういうことだったのか!」と、十数年来の「疑問」が溶けてしまったのである。いや、それは私自身私自身が到達していた結論とまったく同じであった。しかし、私の認識が正しかったことを完全に裏付けられたことが私には衝撃的だったのである。その上、私の認識はいささか「甘かった」と分かった。真実は私の認識以上に「悲惨」であったのである。

どういうことかというと、ほとんどの日本人は「ものを考える力」を持っていないのだということを、OECDが行ったPIAACという国際調査のデータを元に、きっちりと論証しているのである。著者はその結果を分かりやすく4点に箇条書きしているがそのうちの2つを書き出そう。

①日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない。
②日本人の3分の1以上が小学校3〜4年生の数的思考力しかない。

これは著者の主観的判断ではなく、OECDが行った極めて信憑性の高い国際調査の結果である。「読解力」「数的思考」「ITを活用した問題解決能力」について世界の国々のレベルを調べたものである(この本ではその調査結果について詳しく書かれている)。

この①②を読んだ時、全てが納得できた。これは私の認識と同じであるし、近年多くの大学の先生などが指摘してきたことである。多分、日本の大学の教師の80%ぐらいの「実感」にピタリと合っているだろう。私は、日本人の成人の平均的知的理解力は「中学生」レベルだと語ってきたが、PIAACの調査結果によってそれ以下であることが判明したのである。

しかし、安倍晋三大好きナショナリスト諸君喜びたまえ。これほど惨憺たる知的レベルであることがわかりはしたが、それでも日本人は「世界一」の知的レベルだったのである。みもふたもない言い様になってしまうが、ひらたいことばでいえば「正解中のほとんどの人間は馬鹿」だという調査結果だということである。しかし、それが人間についての「真実」なのだと思う。

こういう話を書くと「トンデモ本」だと想う人もいるかもしれないが、この本は極めて学術的な本である。著者は、なにかを主張するにあたってその一つ一つについてきちんと「エビデンス(証拠)」を提示している。世界中の様々な学者や研究機関などが行った調査のデータや、発表された学説を元に論じている。ひとつひとつの論考に対して、対応する参照文献をあげている。著者自身の「推論」については「推論」であることをきちんと明示した上で、どうしてそのように推論するのかについてその「根拠」を示している。学術書の記述スタイルを踏襲している。

これ以上書くと長くなるので取りあえず止めておく。その気になったら改めて近日中にもう少し詳しく解説したいと思う。

もうひとことだけ言っておくと,近年、遺跡から発見された「人骨」のDNA鑑定が行えるようになったことにより、人類史についての解釈が大きく改められている。この本では最新のDNA鑑定を基にした科学的研究成果に基づいて「サピエンス史」を跡づけることから「人種」の起源とその進化過程を論じ、各人種がどのような特性を獲得し、知的レベル(知能)を向上させてきたのかについて、人類学的知見などと照らし合わせて論じられている。著者の見解を肯定するにしろ否定するにしろひとつひとつ論拠を挙げた上での「科学的根拠」に基づく主張であるため、「検証可能性」が高い。

とにかく面白い。『もっと言ってはいけない』の方が圧倒的に面白いが、やはり先に『言ってはいけない』を読んでおいた方が理解がしやすいだろうと思う。

ほとんどの人が「人間とは何か?」ということについてあまりにも「無知」に過ぎると思う。偏差値の高い「一流」大学を卒業したような人間の多くが目を覆いたくなるほど「非知性的」だというのがいまの日本人の否定し得ない現実だと思う。

「人間とは何か?」ということについての根本的知識を欠いたところで論じられる社会に対する意見など、「子供の感想」でしかないのである。

この程度の知識には触れておいて欲しい。私が今年読んだ本の中では最もお勧めの2冊である。


追記。息子(中2)がペラペラと捲って「面白そう」と言って読み始めた。


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by dialogue2017 | 2019-07-10 13:30 | Facebook