カメラが良い絵を出してくれる「そこ」 LEICA M MONOCHROMの秘密

そのカメラが一番良い絵を出してくれる"レンジ”で撮れば、iPhoneだってLEICA M MONOCROMに匹敵する写真が撮れるのだ。この写真はどこも破綻していないので、トーンカーブを使って弄ればいろいろなトーンの素敵な写真になる。「元」(撮りっぱなし)が肝心なのだ。

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Facebookにアップするため、ヨドバシカメラから届いた段ボール箱を撮った。リビングルームの床の上に置いてiPhoneで撮影した。そのあと、このカーテン越しの光を撮ってみた。レンズを向けてシャッターボタンを押しだけである。iPhoneでも"露出補正"を行うことが出来るが、そんなことをすることはほとんど無い。しかし、最近のiPhone(これはiPhone8で撮った)はとても優秀で、よほど輝度差の大きな場所を撮るのでも無い限り、かなり理想的な露出で写真を撮ってくれる。この写真は撮りっぱなしであるが、白飛びもせず黒潰れもせず、0〜255の中できちんとトーンを繋いでくれている。

カーテン越しの直射光がリビングのフロアーに当たって「反射」している場所を撮っているので実際はかなり明るい。手前側から見ると反射がかなり眩しいほどである。しかし、ご覧の通りiPhoneは実に見事に綺麗な描写をしてくれている。ただ、iPhoneを下に向けてシャッターボタンを押しただけなのに。

誰が写真を撮ろうと、撮るという行為は「ただシャッターボタンを押す」だけである。しかし、誰が撮っても写真が同じになるわけでは無い。同じ場所を撮っても撮る人によって写真はみな違ってくる。そうなる理由は、「撮り方」が異なるからだ。モノクロ写真の場合、同じ場所を撮ってもアングルによって"トーン”が変わる。「光の捕まえ方」次第で出来上がる写真は大きく変わる。

今年の春先、渡部さとるさんが新しいカメラを買うと言ったとき、私は彼にFUJIFILM X-T20を勧めた。彼は私の話を聞いて「今からヨドバシに行って買ってくる」と言った。私は、「そんなに慌てることはない。僕のを貸すから使ってみて気に入ったたら自分のモノを買えば良い」と言って彼の逸る気持ちを抑えた。しかし渡部さんは「いや、明日から使いたいから買う」と言う。彼の気持ちはよく分かる。私もカメラを買うときの動機として一番強いのは「明日使いたい」なのである(笑)。私は、「買って使ってみて手に馴染まないと言うことが考えられる。明日に間に合うように貸すから今日買うのは辞めた方がいい」と説得した。アマチュアがベテランプロカメラマンを説得しているのだから笑える話だ(笑)。

結局渡部さんはX-T20を買わなかった。理由は、「iPhoneでいいかな」だった(笑)。そうなのだ。ちょっとした写真を撮るためならいまはiPhoneで十分なのである。彼はそのことを「深く」知っているのである。

10月24日に、渡部夫妻と4人で飲んだ際、妻とハルさん(渡部夫人)が「韓国サウナ」に行っているあいだ私と渡部さんは差し向かいで飲んだ。当然、その時間は「写真とカメラの話し」ばかりである。その時にも「iPhoneは良く写るよね」という話になった。渡部さんは、「小さなセンサーのカメラは、いい絵を出すところをピンポイントでチューニングしているので、"そこ”ではもの凄いいい絵を出すんだよ。ただ、当然"そこ”の幅は狭いよね」と語った。レンズ固定式のカメラに写りが優秀なカメラが沢山あるのもそういうことなのだ(iPhoneに比べて全体として良く写るが)。

例えば、私は一時期友人から借りたFUJIFILM X100Tを使っていたのだが、その後購入したX-T2にXF23mm F1.4 Rを付けて写真を撮っても、X100Tのレベルの写真が撮れなくてガッカリしたことがあった。X100Tは搭載している撮像センサーと固定されている23mmレンズをベストマッチングにチューニングして作られたカメラだから「そこ」で撮ると抜群にいい絵を出すのである。一方のX-T2は様々な交換レンズに対応するように作られているから撮像センサーとレンズをピンポイントでベストマッチングにチューニングするというコトが出来ない。その差は、わかる人間にしかわからないほど小さいのだが、わかる人間には大きくみえる。

どのカメラにも一番良く写る「レンジ」がある。渡部さんが使った表現を借りれば「そこで撮れば」とても綺麗な写真が撮れる。実は、LEICA M MONOCHROMと言うカメラは、「そこ」が狭いのである。ダイナミックレンジ自体は決して狭くないのだが、もっともいい絵を出す、つまり他のカメラでは出せないレベルの絵を出せる「レンジ」がとても狭いのである。だから、「そこ」を知らないで撮っても価値がないカメラなのである。

極論すると、iPhoneでも「そこ」で撮りさえすれば、LEICA M MONOCHROMに負けない写真を出してくる。少なくとも、こういうブログに掲載する程度のサイズの写真であれば、「そこ」で撮りさえすれば十分勝負になる。私は、iPhoneで素晴らしい写真を撮っている人を知っている。下手くそな人がLEICA M MONOCHROMで撮る写真よりよほど立派な写真を彼はiPhoneで撮っている。LEICA M MONOCHROMというのは難しいカメラなのである。「そこ」を知らない人間が使うと完全に「豚に真珠」となるカメラなのである。

さて、そろそろ本気で「写真とカメラの話し」を始めようか?



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by dialogue2017 | 2018-11-08 17:00 | 写真とカメラの話し | Comments(0)