新三人娘(5) モノクロにすべきかカラーにすべきか? その判断基準について

「どうだ!」と胸を張って自慢できるほど立派な写真では無いが、セッティングと呼べるレベルのセッティングをせずに撮っていることを考えれば十分及第点を付けることができる写真である。どうやって撮ったかは写真下の本文を読んでいただきたい。ああ、今回は長くなった〜。

※笑い話であるが、(1)に掲載した写真と同じ写真だった(笑)。レタッチが変わっている(笑)。

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135mmmでポートレートを撮ったのは事実上初めてのことである。135mmというのは135判換算にしてのことで実焦点距離は90mmである。撮影する際の「間合い」は135mmと同じであるが、実質的には90mmレンズで撮った写真の中央部分をトリミングしているのと同じことである。もちろん、フルサイズセンサーに90mmレンズを付けた場合の方がボケは大きい。APS-Cセンサーのカメラに付けると「間合い」は135mmになるが、実際には90mmレンズなのである。

不思議なモノで、85mmレンズでここまで寄って撮ることはまずないのだが、135mmだとこういう写真を撮ってしまう。理由は簡単で、私に85mmの「間合い」が染みついているからである。135mmレンズを使って85mmの「間合い」で撮ると必然的にこうなる(笑)。なんだかもの凄く新鮮である。新鮮と言えば、私は10代の女の子を撮ったのも初めての事である。

いや、10代が初めてどころか、私がこれまで撮ってきたのは小学生以下の子どもばかりで、大人の女性を撮った経験はほとんど無い。「ほとんど」というのは、子どもの七五三の写真を撮るような時に「母親」を撮ることが稀にあったからである。もちろん、母親自体は必ず撮るが、ここで言うのは母親を「単独」で撮ったと言う話である。そういう経験が指折り数えられる程度ならあるが、すべてスタジオ撮影である。つまり、私はロケ(戸外)で大人の女性を撮ったことがほとんど無いのである。

「新三人娘」たちはまだ10代である。わかりやすく言うと"JK"である。だから「撮ってあげるよ」と声を掛けたあと"JK"だと知って少なからず躊躇いを覚えたし、そもそも声を掛けたときには彼女たちが使っていたEOS Kiss DIGITALで撮ってあげて終わりにするつもりであった。しかし、EOSで撮った写真がそれほどは良くなかった(綺麗に撮れたけれど)。で、ついつい「もっと綺麗に撮ってあげるね」と言って自分のカメラで撮ってしまった。率直に言う。先週の元祖「三人娘」の写真が失敗したリベンジをしたいという気持ちがあった。

私は、「三人娘」シリーズの最終回「三人娘(30)」の中に次のように書いた。

正直に言って今回は自分で驚くほど思うように撮れなかった。あまりにラフに撮り過ぎてしまった。夕暮れ時に海辺で逆光でポートレートを撮るというのは初めての経験だったのだがなんとかなるだろうと甘く考えて撮った。実際に撮ってみて、思っていたほど簡単なことでは無いことを理解した。しかし、もうわかった。今回いくつもの失敗をしたので次回はそれら全部を「潰して」撮れば良いと言うことである。是非再挑戦してみたい。

「新三人娘」の写真を撮った時、「再挑戦」のチャンスだと思った。そう思った理由はもの凄く簡単である。先週元祖「三人娘」を撮った時にはもう夕暮れであった。あの時失敗した原因のひとつは「夕暮れの光」で撮ったことであった。昼間撮ればああいう失敗をしないことはハッキリしているのだ。私は、X-T2でEOS 5D3と同じような写真が撮れると思い込んでいたが、実際にはそうでは無かった。1年7ヶ月間使っていてX-T2に大きな不満は無かった。その理由は、私が撮っている写真のほとんどが「記録」としての写真だからだ。そもそも、X-T2・X-T20は「家族の記録」を撮り残すために購入したカメラなのだ。

しかし、先週「記録」ではない写真を撮って初めて「不満」を覚えた。正確には不満を感じたのでは無く、5D3と同じようには撮れないと言うことを知ったのだ。まず、逆光時のAFが5D3より不安定である。これは使ったXF56mm F1.2 Rが原因になっている部分もあるだろうと思うが、大きな問題点はX-T2のAF性能の問題だろう。逆光とともに、「動態撮影」時のAF精度も5D3に劣ると感じた。

先週失敗した最大の理由は、シャドーに顕著な「暗部ノイズ」が出たことである。5D3でも暗部ノイズは出る。撮り方が悪いと割と簡単に出る。これはどうにもならない。現時点では超えられていないデジカメの欠点なのだ。デジタルカメラは、「露光量」が不足した部分にノイズが生じるのである。良い条件で撮影したときには、「安い」カメラと「高い」カメラの差はそれほど目立たない。だから、平素X-T2の画質に不満を感じることはあまりない。では、「高い」カメラと「安い」カメラのどこが違うかというと、「厳しい撮影条件」で撮った時なのだ。「安い」カメラは簡単に破綻するが、「高い」カメラは安いカメラより破綻するまでの幅が広い。

「安い」カメラというのはAPS-Cセンサー搭載カメラのことである。「高い」カメラというのはフルサイズセンサー搭載カメラのことである。両者の違いというと誰もが真っ先に思い浮かべることは「ボケ」の大きさだろうが、仕事で写真を撮る人間であれば両者の違いを「限界値」の高さに見出しているはずだ。つまり、センサーサイズが大きいほど「破綻」するまでの幅が広いのである。私には5D3の感覚が染みついている。ポートレートは5D3でしか撮った経験がない。だから、ついつい5D3と同じ感覚でX-T2を使ってしまったが、それが間違いだったのだ。

X-T2でポートレートを撮る際には先週失敗した原因を「潰して」撮れば良いのである。真っ先にすべきことは、「弱い光」で撮影しないと言うことだ。つまり、まだ太陽の光が「強い」時間帯に撮影すれば良いと言うことである。これだけで「暗部ノイズ」の問題は概ね解決する(100%解決するわけではない)。そもそも、私は写真館をやっていた時代、ロケ撮影は基本的に10〜13時の間にしかやらなかった。お客さんには予備日を用意して貰って、曇天の場合には撮影を順延した。基本的には晴天の日の「真っ昼間」にしかロケ撮影を行わなかった。理由は、一番綺麗に撮ることが出来るからである。

私がロケ撮影で撮っていた写真の大半は七五三写真だった。神社の境内でいろいろなシーンを撮影し、写真40枚前後で1冊の記念フォトブックを作っていたのである。私は主にメインカットを撮影していた。「定番」写真である。私の「定番」は女の子を撮る場合には髪の毛に「トップライト」を入れることである。髪の毛にトップライトを入れるためには、モデルさんのほぼ真上に太陽があるのが一番都合が良い。だから、私は10〜13時にロケ撮影を限定していたのである。この時間帯は夏だと光が強すぎるのでそういうデメリットもあるが、そこは撮りようである。

陽射しが強すぎるときには、モデルさんを「日陰」に入れて撮る方法を良く使った。髪の毛にトップライトが落ちてくる位置で、モデルさんの「顔」には直射光があまり当たらない場所を探して撮るのである。そうしておいて、モデルさんの顔には至近距離のレフ板からバウンス光を強く当てて撮る。直射光が当たると「肌」が固めに写る。鼻筋に影が出て「強い」写真となる。女性の写真にはあまり向かない。しかし、直射光を避けて「バウンス光」を「メイン」にして撮影すると、肌が柔らかい感じの写真になる。なぜなら、レフ板からバウンスした光は「拡散」して「柔らかい(弱い)」光となってモデルさんに当たるからである。神社では「大木」の作る日陰を利用してそういう写真を撮った(見本は近日中に掲載しよう)。

上の写真はそういう撮り方に似ている。もうすぐ晩秋になろうとしているが、日中の浜辺の光は強い。柔らかく撮るためには「日陰」に入れて撮るのが良い。しかし、今の時期の浜辺には「日陰」などどこにもない。夏ならビーチパラソルや「海の家」の日陰があるが今の時期の浜辺にはなにもない。しかし、この子を撮る時には「太陽を遮るモノ」があった。写真を見れば一目瞭然である。彼女が被っている帽子の「つば」である。帽子の「つば」が直射光を遮るように彼女の顔の向きを調整すれば彼女を日陰に入れたのと同じ効果が出る。そうした結果、彼女の顔に当たっている直射光は「頬の左端」と「鼻の頭の左側」の二ヶ所だけである。残りの部分には強い直射光は当たっていない。ただし、砂浜というのは大きなレフ板みたいな効果があるので、下から反射してくる柔らかい光が満遍なく彼女の顔を照らしている。

しかし、それだけでは「光量」が全く足りない。で、レフ板で光を当てて「シャドー」を起こして撮っているわけであるが、知識のない者にレフ板を持たせても理屈がわからないので上手に光を返せない。いちいちああだこうだ指示していたら女の子たちは撮られることに嫌気がさしてしまうだろう(まして相手は"JK”だ)。だから、本人に胸の前でほぼ水平にレフ板を持たせて撮った。ある程度「お化けライティング」になることは避けられないが、身体の向きと顔の向きである程度カバーできる。つまり、先週の夕暮れに「三人娘」を撮った時のように完全な「逆光」に近い撮り方は避け、どちらかというと「サイド光」に近いアングルでモデルの顔に光が当たるようにして撮影した。撮影時に唯一モデルに指示をしたことは、顔を向ける角度だけである。

まあ、そんな大雑把な撮影である。JK相手にそれ以上のことをやろうとは思わない。どこか「犯罪」を犯しているような気持ちがあって,速く撮影を切り上げたかったぐらいなのだから(笑)。その割には綺麗に撮れていると思う。自画自賛するほどの写真でも無いが、出会って5分やそこらで「ハイここに立って」「身体をこっちに向けて」「そうそこでいい」「はい、これを両手で持って」と言って私が軽くレフ板を動かしたうえで「この角度で持っていてね」「よし、じゃあ撮るよ」「うん、いい感じ」「可愛らしく撮れている」と言って、15秒ぐらいで4〜5枚撮るのである。そんな大雑把でいい加減な撮影でも、モデルの立ち位置、顔の向きを適切に調整し、顔のシャドーが起きる程度にレフで光を返せばこの程度の写真は簡単に撮れる。カップヌードルが出来上がるまでに3人全部撮り終わってしまう(本当の話だ)。

とにかく何でもモノクロで撮りたがる「変態」諸君のために「オマケ」でモノクロにしたものを掲載する(笑)。カラー写真の場合、彼女の"ほくろ”はチャーミングポイントとなっていると思う。しかし、モノクロにしてしまうと「肌の汚れ」のように見えかねない。で、彼女には失礼だが、モノクロにした際に"ホクロ”を消してみた。「黒い点々」に見えてしまうのである。で、思い出したが「ホクロ」というのは漢字で書くと「黒子」である。やはり女性のポートレートはカラーに限る。ただし、文句なしの光で撮った場合はその限りではない。モノクロで女性ポートレートを撮るのであれば、「どうだ! この写真を見て見ろ!」と胸を張って自慢できるレベルの写真を撮りたいものである。申し訳ないが、この写真はそういうレベルには遠く及ばない。要望があれば、近日中に「どうだ!」というのを出そう(笑)。

真面目な話を書いておく。この写真はカラーだと悪くない。柔らかい描写だからである。しかし、モノクロにするとたいした写真じゃない。この違いがわかるかどうかが「モノクロとして成り立つ」かどうかの判別に繋がる。ピントが反対の眼に行ってしまっているという事情を捨象して考えた場合、この写真よりひとつ前のエントリーに掲載した"この写真”の方がモノクロポートレートとしては断然良い。理由は至って簡単であちらの写真には「綺麗な光」が写っているからである。それがすべてだとは言わないが、モノクロ写真の肝は「綺麗な光」で撮ることなのである。髪の毛への「トップライト」が私の切り札である。このアングルはカラー用なのだ。失敗した。ホクロは全部消さず少し残しておくべきだった。カラーだと背景が「海」であることがわかるが、モノクロにしてしまうとどこで撮った写真であるか全くわからない。「情報」を捨てることは「吉」とも「凶」ともなる。モノクロとして成り立つのは前者なのだ。

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追記。たいした写真で無くて申し訳ないが、この写真であれば「モノクロとして成り立っている」と言って良いと思う。こうやって、2枚並べると上の写真が「モノクロとしては成り立っていない」ことがよく分かるよね。左右に並べてらもっとハッキリしている。上の写真はメリハリが少なくて"のっぺり”見えるよね。でも、カラーだと色がメリハリを作っているから成り立つわけ。

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それでもカラーには勝てない。女性ポートレートはカラーだ! それにしても完全なピンぼけじゃないか。「瞳認識AF」ここまで外すともう使えないな。X-T3でどこまで精度が上がったのだろう? EOSRとかの方が性能高いんだろうな。女の子は明るく爽やかに撮ってあげないとね(笑)。

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by dialogue2017 | 2018-10-30 06:00 | 写真とカメラの話し | Comments(0)