僅かの差が写真の雰囲気を変える

FUJIFILM X-T20 + FUJINON XF35mm F1.4 R ISO400 F1.4 1/120 RAW→Crassic Chrome→モノクロ

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FUJIFILM X-T20 + FUJINON XF35mm F1.4 R ISO400 F1.4 1/105 RAW→PRO Neg.Hi→モノクロ

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昨日は、知人が買うカメラ選びのお手伝いをするため秋葉原まで行ってきた。知人は新宿のヨドバシに行く予定であったが、カメラ選びをしたあと上野駅から東北新幹線に乗る予定だというので私の方から秋葉原を指定した。上野店もあるけれど好きじゃ無いのだ。知人と別れたあと、新宿職安通りにある行きつけの韓国料理屋さんによって遅いランチを食べた。店長の女性から「ずいぶん久しぶりじゃ無いですか?」と言われた。都内に出るたびにランチを食べに寄っているのだが、ここ数ヶ月は都内に出ること自体が無かったため久しぶりとなったのである。で、前回都心に出たのはいつだったか調べてみたら3月初旬であった。でも、その時にはこの店には寄っていないので、随分久しぶりだったのである。

上の2枚の写真はその韓国料理屋さんの店内で撮った写真。上の写真を最初に撮って、下の写真はその36秒後に撮った。下の写真の方が1/3段明るい露出で撮っている。1枚目はなんとなく撮った。料理が運ばれてくるまで手持ち無沙汰だったのだ。2枚目を撮ったのには理由があった。後ろ姿の女性の顔の向きがほんの僅かに変わった。そのことによって彼女の「頭部」のディティールの出方が変わった。顔の向きはほんの僅かしか変わっていないのでハイライトの出方も微妙な程度にしか変わっていないのだが、後ろで見ていてそれが分かったのでテーブルの上のカメラを手にして2枚目を撮った。その時、ハイライトを出したいと思って1/3段明るくして撮った。

実は、この2枚はRawファイルからそれぞれ別のフィルムシミュレーションで現像した。1枚目がClassic Chromeで2枚目はPRO Neg.Hiである。一旦カラー写真にしたあとそこからモノクロに変換している。どうしてそんなことをやったかというと、カラーの各フィルムシュミレーションは「色合い」が異なるだけでは無くコントラストとトーンもそれぞれ違うからである。別にモノクロ写真に付いて研究している訳では無いのだが、時々、そういう遊びをしてみるのである。暇なのだ。

トーンだのコントラストだのという「難しい」話は置いておいて"ハイライト”の話をちょっとだけ書く。上の写真は女性の身体がほぼ真っ直ぐで頭部も真っ直ぐになっている。その為、すっきりした写真として見える。下の写真は女性がやや右下に視線をやっているため、若干からだがねじれて右肩が落ちている。それに伴い頭部もねじれ左耳が隠れてしまった。そのことによっていくらかバランスの悪い写真になり写真に安定感がなくなった。表現を変えると1枚目のようなすっきりした感じが失われた。

しかし、2枚目の写真では女性の右頬にハイライトが入った。いや、正確に表現すれば頬にハイライトが入ったのでは無く、ハイライトが入った頬が見えるようなアングルになったと言うことである。ハイライトの入った頬が入って来たことによって頭部からのハイライトが1本の線になって続き、頭部の右側のアウトラインが綺麗に出た。真後ろから見ていてそれに気がついたので2枚目の写真を撮ったという次第である。

14日に書いた「人物のスナップは思うようにいかない 結局ポイントは光なんだよ」の中に、「例えばポートレートの場合、顔を向ける角度が5度変われば顔に当たる光の角度も5度変わり、頬に入るハイライトの量が変わる顔の向き5度の違いで写真は全く別物になる。セッティングして撮るポートレートではそこを調整することが出来るが、街で見かけた見知らぬ方を撮るときにはそういう訳にはいかない」と書いたが、5度顔の向きが変わると写真は変わる。

普通、人物の写真を撮るときに顔の向きの5度に気を配ると言うことは無いだろう。しかし、顔の向きを5度動かすだけで、動かす前には入っていなかったハイライトをモデルの頬や髪の毛に入れることが出来る場合がある。いや、曇天下でも無い限りほとんどの場合そうなる。スタジオライティングで撮るにしても太陽光で撮るにしても、モデルの身体(顔)の向き次第でディティールの出方が変わってくる。仕事として、つまりお金を頂いて人物写真を撮る場合には当然のことながらこのあたりのことには強く気を配る。ハイライトが入るかどうか、髪の毛にトップライトが入るかどうかで写真の見栄えはがらりと変わるからである。一定期間仕事で人物写真を撮る経験を重ねると、それが「習性」となって身につく。

いや、仕事では無くてもその点に注意を払って写真を撮っていればそれは身につく。写真撮影においてプロであるかアマであるかに何の差も無い。それは単に経験の蓄積の違い、技術の違いであって、「立場」の違いがそれを生み出している訳では無い。しかし、趣味で撮っているとなかなかそこまで拘らないから、顔の角度5度に気を配るアマチュア写真愛好家は少ない。結論を言うとそれでいいと思う。乱暴なことを言ってしまえば、お金を頂くから拘っているわけであって、趣味で撮るならそこまで拘る必要性は高くない。

私だって、プライベートで写真を撮るときにはそういうことに強い拘りは抱いていない。ただ、実際にモデルの身体の向きを5度変えてから撮るかどうかはともかく、どういう向きに調整したら最も綺麗に写せるかを知っていることには意味はあるだろうと思う。知っていれば、偶然では無く意図してそういう写真を撮ることが出来るから。

上の写真の方が"キッチリ感"が強いのはClassic Chromeからのモノクロ変換であるからである。Classic Chromeは「硬調」のセッティングなのである。PRO Neg.Hiはやや「軟調」のセッティング。その為下の写真の方が柔らかい。とても僅かな差なのだけれど、人間の眼はその差を「感じる」。好き嫌いには抗えないし、写真の使用目的にも大きく左右されるが、モノクロ写真としては下の写真の方が良いできだと思う。


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by dialogue2017 | 2018-05-18 15:00 | 写真論 | Comments(0)