モノクロ用フィルター(8)

さて、いよいよ最終回である。初回は「モノクロ用フィルター」と題されていて(1)は付いていない。つまり、初回を書いたときにはそれで終わりにするつもりだったのである(暇つぶしで書いたのだ)。それがついつい(5)まで書いてしまった。(5)を書いた時点では、それで終わりにするつもりであった。しかし、モノクロ用フィルターの話を書いていながら、その効果がほとんど現れていない写真だけを掲載して終わりにしたのでは「羊頭狗肉」の誹りを免れ得ない。で、今日になってモノクロ用フィルターの効果をはっきりと知ることの出来る写真を2例掲載することにしたのだが、前置きで(6)を書いてしまった。そんなわけで、1回で終わりのつもりの話が(8)まで続いてしまったのである。

最終回は、Gフィルターの「効果」が顕著に表れる写真をご覧頂く。モノクロ写真をやっている方でもGフィルターを使ったことのある方というのは少ないのでは無いかと思う。たいがいの人は使ってもイエローだったのでは無いかと思う。さて、「作例」をお見せする前にGフィルターの基本的な傾向をおさらいしておく。

Gフィルターは、「緑色」を明るく写し、「赤色」を暗く写すフィルターである。このフィルターはモノクロポートレート撮影で使われることが多いが、一般的にモノクロポートレート撮影でGフィルターを使用すると「肌や唇を自然な感じに描写」できると言われている。富士フイルムの「屋外でポートレートを撮影してみませんか」の中でも「モノクロ+Gフィルター:唇や肌の調子を出し、ポートレートに適したモノクロのフィルムシミュレーションです」と記されているが、私の印象としては「自然な感じ」の写りになるとは思わない。私はモノクロフィルムでGフィルターを使ってポートレート撮影を行った経験が無いので、フィルムで使った場合また違うのかもしれないが、X-T2やX-T20でモノクロポートレートを撮る際にGフィルターを使いたいとは思わない。

さて、「作例」にする写真を選ばなければならないのだが、GW中には沢山写真を撮っているがすべて「記録」のための写真で、「作例」として適切な写真がない。いや、あるかもしれないが、沢山撮った写真の中から探し出すのが面倒である。「作例」として必要な条件は「肌」が写っていることと「赤色」が写っていることなので、昨日の夕刻娘を撮った写真を使うことにする。選んだ理由は、最後に撮った写真なので一番最初に目に付いたからである(笑)。近いうちに、きちんとした「作例」を撮って掲載する。ただし、気が向いたらね(笑)。

【ASTIA】

この写真は昨日(6日)の夕刻(16:35)に撮影した写真である。茅野運動公園でマレットゴルフをやったあと、茅野市豊平にある「縄文の湯」に行った。その直ぐはす向かいに『ぺぱん』というイタリアンジェラートのお店があって、子どもたちがとても気に入っていてちょくちょく立ち寄る。昨日も立ち寄り、子どもたちはジェラートを食べた。いつも店先のテーブルに座って食べるのだが、その際私は必ず写真を撮る。私は、出先では朝から晩まで一日中写真を撮っている。すべて「その日の記録」を残すための写真であるからあまり丁寧には撮らないがとにかく沢山撮る。この写真はそういう写真の1枚である。この写真は曇っているときに撮影した写真である(夕刻で光量も少ない)。

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【ACROS】

上の写真と同じRawファイルをACROSで現像したもの。上の写真とパラメーターは同一。フラットな光で撮影している上に、カメラの設定でコントラストも落としているので「眠い」写真である。ここからレタッチする前提のファイルであるが、モノクロにするとカラー以上に眠い感じに見える。色というものがいかに「メリハリ」を作っているかが分かる。ちなみに、この写真を含めモノクロにしたもを見る際には背景を見ないで娘の顔だけを見て欲しい。ポートレート撮影の場合、各フィルターの効果はモデルに現れる部分が重要なので。

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【ACROS+Ye】

上の写真と同じRawファイルを「ACROS+Ye」で現像したもの。パラメーターは一切弄っていない。つまり、Yeフィルターを掛けたと言うだけの違いである。まるで露出を持ちあげたのでは無いかと思うほど娘の顔が明るくなっている。そして、それ以上に顕著なのは娘の着ているシャツの色が薄く(明るく)なっている。Yeを掛けた変化は顕著である。

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【ACROS+R】

Yeフィルターを掛けた上の写真より更に全体的に明るくなっている。それもそのはずで、娘に関しては「髪の毛」と「黒目」の部分以外はほとんど「赤系」の色なのである。一番上の「ASTIA」を見て貰うと分かるように、肌の色もかなり「赤い」。RフィルターはYeフィルター以上に「赤系の色」を明るく写すのでこういう感じになる。フィルター無しの写真とはかなり違った写りになっている。

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【ACROS+G】

さて、Gフィルターである。全体的にかなり「暗く」写っている。Gフィルターは「赤系の色」を暗く写すのでこうなる。まるで露出を落としたかのようである。上に記したように肌の色も「赤い」ので暗くなっている。この写真を見ると「肌や唇を自然な感じに描写」とか「ポートレートに適したモノクロのフィルムシミュレーションです」という指摘に同意しかねる人が多いのでは無いかと思うが、もともとフィルムというのはデジタル画像に比べて「眠い」写りになりがちである。故に、Gフィルターを掛けることによって適度なメリハリが生まれ「自然な感じに描写」されたのだろうと思う。このファイルを丁寧にレタッチしたら印象はかなり変わるだろう。

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【ACROS+Gを微調整】

下の写真は、直ぐ上の部分までの文章を書いた後、上の写真を15〜20秒ほどで「レタッチ」したものである。トーンカーブで明るさを持ちあげ少しコントラストを付けた。この写真がパッとしない大きな原因は絞りを開きすぎて撮っているからであるが、レンズの「開放」のテストをしているのでその点は仕方ない。だから、背景を見ないで娘の顔だけを見て判断して貰う必要があるが、人間の見た目に近いという意味では確かにGフィルターを使った写真が一番近いかもしれない。実在感がある。私はフィルムでGフィルターを使ってポートレートを撮ったことが無いので確かなことは言えないが、ゼラチンシルバープリントでモノクロポートレートを作るにはGフィルターというのは使いでがあるだろうと思う。

「ACROS」「ACROS+Ye」「ACROS+R」の3枚は手をまったく入れていない。この3枚だってきちんと手を入れて上げればそれぞれもう少し良い写真になるだろうとは思うが、私はフィルター無しの素の「ACROS」が一番好きだ。もしこの写真をきちんとレタッチしてプリントにするとしたらACROSをベースにすると思う。私はX-T2とX-T20でモノクロ写真を撮る際には80%はフィルターを掛けない素のACROSで撮っている。残りの20%はYeを掛けている。最近はモノクロモードではほとんど撮っていないが。だって、春だもの!

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by dialogue2017 | 2018-05-07 17:00 | 写真論 | Comments(0)