モノクロ用フィルター(2)

ケンコー・トキナーのHPより。

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※このエントリーに関連した写真は「モノクロ用フィルター(4)」「モノクロ用フィルター(5)」に掲載する。

昨日の朝アップした「モノクロ用フィルター」の話の続き。この話を書こうと思ったわけは、地球の裏側で写真を撮っている女性の方がブログの中で「モノクロ写真に使うカラーフィルターについて勉強しないとダメかも?」と書いているのを読んだから。まあ、今どき、ご本人がネットで調べればフィルターの使い方を説明しているサイトなどいくらでも見つかるわけだから、なにも専門的知識を持たない私が書く必要は無いのだが、よい暇つぶしになるのでちょこっと書いてみる。

その方がフィルターについて勉強しようと思った理由は、「青空をモノクロで表現しようと思ったけど 雲が白飛びしちゃうし 逆光だから? 白樺の幹の『白』が、うーん…」という写真を撮ってしまったからである。そして、「モノクロ写真に使うカラーフィルターについて勉強しないとダメかも?」となったわけである。この文章の上に掲載されている彼女が撮影した写真を見ると、確かに雲が白飛びしている。青空の部分はダークグレイ。そして手前の白樺の木もほとんど空と同じ程度のグレーに写っている。

これは、フィルター云々の問題では無い。太陽の直ぐ脇にある白い雲を画角の1/4くらい入れて撮影すれば、雲を白飛びさせないように撮ったら手前の白樺の木はグレーに写るに決まっている。OLYMPUS PEN E-PL3で撮影された画像のようなので、試みに、同じようなシーンを「スポット測光」で計ってみたら良いだろう。「白い雲」と「白樺の幹」の輝度差はかなり大きいだろうと思う。

掲載されている写真の「白い雲」はモニタで見るとそれほど酷く飛んでいるようには見えないが、実際にはそこそこ飛んでいる。露出補正を掛けずカメラのAE任せで撮っているようであるが、背景がこれだけ明るければ手前の白樺の幹がアンダーとなってグレーに写ってしまうのは当然のことであるこの構図で撮影する限り、モノクロ用フィルターを使っても雲の白飛びを押さえたら手前の白樺の幹はグレーにしか写らない。雲も白樺の幹も同じ「白色」であるが、雲は直ぐわき(あるいは後ろ)に太陽があって光を沢山透過させていてとても明るいが、白樺の木のカメラのレンズ側は逆光である為シャドーになっている。同じ白でもまったく明るさが違うのであるからフィルターを使ってもどうにもならない。

赤系のフィルター(イエロー、オレンジ、レッド)を使用すれば、空の色がもっと濃いグレーになる。モノクロフィルムでの撮影には、イエロー、オレンジ、レッドのフィルターが使われることが一般的であるが、赤系のフィルターというのは「青色」を暗く写すフィルターである。イエロー、オレンジ、レッドの順に青色がより黒っぽいグレーとなっていく。モノクロフィルムで写真を撮ることが普通であった時代、風景写真を撮る人々は赤系のフィルターを使った。その最も大きな理由は、コントラストがついてメリハリのある写真となると言うこともあるが、赤系のフィルターを使うと「遠景」がシャープに写るからである。

スナップには「イエロー」フィルターを常用する人も少なくなかった。適度なコントラストが付きインパクトのある写真になるからである。オレンジになると、イエローよりコントラストがかなり強くなるので、海や山で使われることが多かった。レッドはかなり強いコントラストになるので、普通はあまり使われない。強烈なイメージの写真にしたいというような時に使われる「特殊」なフィルターだと言って良いだろう。

注意しなければいけないことは、モノクロフィルムで撮影する際にこれらのフィルターを使う場合には「露出倍数」を掛けなければならないことである。フィルターを通過することによってフィルムに到達する光の量が減ってしまうから、露出倍数を掛けて調整して上げる必要があるのである。大雑把に言って、イエローで1段、オレンジで2段、レッドで3段のプラス補正をする必要がある。ただし、カメラ内蔵のTTL露出計で測光した場合には露出補正を行う必要は無い。もちろん、デジカメの場合にも補正は不要である。

【追記】「露出倍数」についてうろ覚えの記憶で書いた。間違っていたかもしれないと思って調べてみたら、イエロー1段、オレンジ3段、レッド4段と記載されているサイトが見つかった。もうひとつ位参照しておこうと思って調べたら「ケンコー・トキナー」の「フィルターの基礎知識」というページが見つかった。そこには、私が上に書いたのと同じくイエローで1段、オレンジで2段、レッドで3段となっていた。

Gフィルターは一般的にはモノクロでのポートレート撮影に使われるフィルターであるが、緑色を明るく写す効果のあるフィルターであるから、新緑を写したりするのに使えるケースもある。

もし、モノクロフィルムでフィルターを使うのであれば、イエローにとどめておくのが無難だと思う。ただ、本当に必要かどうか? モノクロフィルムでフィルターを使ってコントラストをコントロールしようというのはかなり上級者のやることだと思う(少なくとも中級者)。私の知っている限り、モノクロフィルムで作品を撮っている作家のほとんどはフィルターを使っていない。

結論を言うと、フィルターを使うより「露出」についてもっと良く理解することの方が何倍も大切なことである。地球の裏側で写真を撮っている女性に少しでも役に立てば幸いである。


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by dialogue2017 | 2018-05-06 06:00 | 写真論 | Comments(0)