なんのためにライティングをするのか? (2)

写真は、2012年9月29日に私が撮影した友人の写真である。古いブログのエントリーから引っ張ってきたファイルであるためRetina Displayで見るとかなりぼやけて見えてしまうので少し小さなサイズで掲載した(それでもはっきりとぼやけて見える。本来倍のファイルサイズが必要)。

個人的な友人が遊びに来て撮った写真であるため、ちょっと"よれている"バックペーパーを使って撮影した。そのため、写真左側の"ハイライト”の部分にムラが出てしまっている。よれていないバックペーパーで撮影すればこういうことはない。また、小さいサイズに圧縮しているため、元ファイルの階調(グラデーション)が少なからず失われている。プリントをする際には大きなサイズのファイルから出力するのでグラデーションがなだらかに繋がった階調が豊かなプリントになる。 ※写真の下に本文あり。

EOS 5D MarkⅢ + SIGMA 85mm F1.4 ISO200 F8 1/160(マニュアル) AWB JPEG モノブロックストロボ2灯 2012年9月29日撮影 

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前節で、ライティングの目的の一つとして「被写体を『美しいグラデーション』で撮影するためである」という理由を上げた。スタジオライティングを行う場合、フラットなライティングを行うことは少ない。記念写真のような写真の場合は比較的フラットなライティングで撮ることが多いので、写真館などではむしろフラットなライティングが基本であるが、グラビアフォトのような写真を撮る場合にはフラットなライティングを行うことは少ない。

フラットなライティングで撮影した写真には面白みが無い。フラットなライティングで撮影する写真の最も代表的なものは「証明写真」である。モデルの顔に影が出ないように撮影することが大事なのでフラットなライティングで撮影する。「証明写真」というのは言ってみれば「実物のコピー」が目的であり、美的に撮ったのでは失敗となる。

通常「写真館」ではフラットな光で写真を撮ることが多い。「記念写真」というものは、「証明写真」ほどでは無いにしろ「記録を残す」という目的の写真なので基本的には陰影の少ない写真を撮る。しかし、ファッションフォトとかグラビアフォトの場合、美しく見せることが重要になるため、フラットならライティングで撮影することは少ない。なぜなら、フラットで撮影した写真は面白みが無いからである。フラットな光で撮影すると、「証明写真」のような写真になってしまうからだ。

それ故、「フォトグラフィック・ライティング」の場合、写真に適度な「陰影」が出るようなライティングを行うケースが多い。いや、それが一般的と言って良いだろう。写真は、フラットな光で撮ったものよりグラデーションの出る光で撮影したものの方が美しく見える。

上の写真はモデルさんから見て右斜め45度の角度からの2灯ライティングで撮っている。1灯はモデルさんに当てるためであり、もう1灯は背景紙に当てるためのライトである。どちらのストロボにもソフトボックスを装着してライトを柔らかくしている。通常の撮影では、モデルさんから見て左斜め前に設置している「フィルライト」からもライトを当てる。「フィルライト」というのは「メインライト」だけでは足りない光を補うための「補助光」としてのライトのことである。この写真の撮影の際にはそのフィルライトは発光させず、モデルさん右斜め前の2灯のストロボだけを発光させて撮影した。

細かい説明は省く。ご覧頂きたいのはバックペーパーの「濃淡」である。写真左側から右側に掛けて青色がなだらかに濃くなって行っている。この"グラデーション”が写真を美しく見せる。それ故、そういうグラデーションが出るようにライティングをしている。もし、この写真の背景の「青色」が完全に均一の青色であったとしたら、この写真の見栄えは大きく変わる。もっと味気ない平板な写真になってしまう。だから、フォトグラフィック・ライティングの場合、グラデーションが出るようにライティングを行うことが多い。

"一昨日の晩に撮ったギターの写真”も、基本的には「グラデーション」の付いた写真になるようにライティングして撮影している。モノクロ写真の場合フラットな光で撮影した写真は面白みが無い。カラー写真の場合「色彩」があるためフラットな光で撮っても救われるケースが少なくないが、白と黒のトーン(それは「明」と「暗」のトーンである)でしか表現をすることの出来ないモノクロ写真の場合、フラットに撮った写真というのは面白みが無い。その例として上げて大変申し訳ないが、"「Mon'scafe」さんが撮影されたギターの写真"がパッとしない理由は、私が彼にコメントで伝えたように「フラットな光」で撮影しているからなのである。つまり、写真にグラデーションが無い。コントラストがもの凄く低いため「眠い」写真になってしまっている。フラットな光で撮ったモノクロ写真にはメリハリが無く、美しい写真とはならない。

念のためもう一度書いておくが、この写真を掲載した理由は、一昨晩私が撮影したギターの写真も、基本的にはこの写真と同じ考え方、つまり写真に"グラデーション”が出るようなライティングで撮ったということを伝えるためである。モノブロックストロボ2灯と、小さなLEDスタンド1灯という違いはあるが、ライティングの目的は同一である。あのギターの写真も、右から左に掛けてなだらかに明るさが落ちていくグラデーションがある。そういう風に撮ろうと思ってライトを使ったのである。


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by dialogue2017 | 2018-04-17 17:00 | 写真論 | Comments(0)