モノクロ写真を思うように撮る鍵は「光」を知っているかどうかにある

15分ほど前、このブログを通じて一番よく交流させていただいている「Mon's cafe」さんのブログを拝見したら”ギターの写真が2枚”掲載されていた。ご本人は「相当真面目に撮ってみたのですが、なんか全然うまくいきませんでした」と書いておられました。ご本人の希望としては「表面板を暗く表現したかったのですが、露出を落とすだけではうまくいかな」かったとのことです。で、原因は光がフラットに当たっていること、画角内の被写体の反射率が近いことの2点をコメント差し上げました。そのあと思い立って、1階の書斎に行き、ギターの写真を撮ってみました。言葉でコメントしただけではよく分からないかもしれないので、とりあえず1枚写真を見せることにしました。

モノがどういう風に写るかを決めるのは「光」です。私は先だって「光をコントロールして写真を撮る(1)」「同(2)」という話を書きました。平たく言えば「ライティング」して撮影することの意味についての話です。ライティングの目的は、どういうコントラスト、どういうトーンの写真を撮るかを自分で決めると言うことです。

1階の書斎に行き、クローゼットの前にギターを立て掛け、机の上にあった蛍光灯でライティングして写真を撮りました。下の写真は、そのときFUJIFILM X-T20で撮影した写真のRawファイルを「ACROS」「ACROS+Ye」「ACROS+R」「ACROS+G」の4種類のフィルムシミュレーションでストレート現像したモノです。各フィルムシミュレーションを適用しストレート現像しリサイズしただけで、一切手を加えていません。ですから、一番上の「ACROS」に関して言えばJPEG撮りっぱなしファイルと同一の画像となります。下の3枚も、撮影時にそれぞれのフィルムシミュレーションを適用して撮影した場合のJPEG撮りっぱなし画像と同一になると言うことです。

「ACROS」1枚だけでも良かったのですが、Mon's cafeさんがエントリーの文中でフィルターの話を書いていましたし、また、「パソコンでカラー別に変換具合を変えてみてもさっぱりうまくいきません」と書いておられたので、モノクロ用フィルターを適用した場合の「差異」もお見せしようと思い4つのフィルムシミュレーションで現像してみました。

「表面板を暗く表現したかった」というだけではMon's cafeさんがどういう雰囲気の写真を撮りたかったのかまでは分かりませんが、とりあえずとにかく表面板を暗く写してみました(笑)。Mon's cafeさんさんの撮られたギターの写真との顕著な違いは、ギターのシルエットがはっきり出ている点です。そうなっている理由は、ギターの輪郭にハイライトを入れているからです。この写真はかなりローキーに撮っていてヒストグラムの山の右裾は「148」ぐらいまでしかありませんが(下にヒストグラム掲載)、その後ほっそりと白いラインが「255」まで延びています。つまり、ごく僅かな部分に「255」のハイライトがあると言うことです。ついでに書いておくと、シャドーの方も見た目とは異なりそれほど潰れていません。もちろん、起こせばいくらでも起こせます。

手を入れることが出来るように、少しアンダー目に撮影しています。このファイルからトーンカーブを使ってもっと自分好みのトーンに調整することは容易いです。ちなみに、私は面倒くさがりやなので絞りはカメラを持ったときの設定(F3.2)のまま撮りましたが、きちんと撮ろうと思ったら三脚を使った上でもう少し絞り込んで撮影します。Mon's cafeさん、このファイルをドラッグアンドドロップしてPhotoshopで開いて、好きなようにトーンカーブを弄って見て下さい(笑)。

この写真の撮影は、ギターをクローゼットに立て掛け、その近くに蛍光灯スタンドを置いて明かりを当て、光の向きと強さを調整するまでが約1分ほどで、撮影はそのあと4カット撮るのに10秒ほどしか掛けていません。よーいドンから撮り終わるまでの時間ではカップラーメンができあがらないほどのインスタント撮影です(笑)。ちなみに、私はこういう撮影をやったことは過去一度もありません。

もう一つ「種明かし」をしておきます。この上までの文章には書いていない"あるセッティング"をもうひとつだけやっています。それをやらないとこういう写真には写らないのです。プロカメラマンだと、ライトを当てた以外に何をやったか、この写真をみただけで分かるだろうと思います。それをやらず、ライトで光を当てただけでは全く違った写真に写ってしまうのです。

その、ここに書かなかった"あるセッティング”を私は過去ただの一度も実際にやったことがありませんでしたが、知識としては承知していましたので、この写真を撮る際にそれを行う必要があることは即座に頭に浮かびました。「光をコントロールして撮る」ということを知っていれば、何をすれば良いかは思い浮かぶモノです。そして、この辺りのことが分かるか分からないかが、モノクロ写真を上手に撮れるかどうかの分かれ道です。

モノクロ写真を思ったように撮れるかどうかの鍵は、「光」を知っているかどうかなのです

もちろん、スナップの場合撮影者が光をコントロールすることは出来ません。ではどうすれば良いのか? 写真作家は、自分の描こうと思うトーンの写真になる「光」を見つけて写真を撮っているということです。

撮影データを記載しておきますね。手ぶれ補正機能無しのレンズで手持ち1/15、嘗めてますね(笑)。いつもそうですが(笑)。

追記。この写真だけを見てギターの銘柄型番が分かる人が一人ぐらいいそうな気がします(笑)。

FUJIFILM X-T20 + XF23mm F1.4 R ISO1000 F3.2 1/15 -1.67EV Raw

【ACROS】

e0367501_01100328.jpg

【ACROS+Ye】

e0367501_01101482.jpg

【ACROS+R】

e0367501_01102537.jpg

【ACROS+G】

e0367501_01103420.jpg

上の写真のヒストグラム。ご覧の通りもの凄くローキーに撮っている。しかし、シャドーは完全には潰れていない。撮りっぱなしですよ。

e0367501_01515768.jpg

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Commented by mon21mon at 2018-04-16 06:23
こんにちは。
参考例ありがとうございます。
銘板を撮るときに、表面版との明度差を無くすために、トレーシングペーパーを取り出して見てはいたのですが、結局使うのはやめました。
最初に見た時に、何がハイライトかわかりませんでした。輪郭のハイライトは思い付きませんが、右後ろから、補助で光をあてるとかでしょうか。
実の所、最近あまり写真を撮っておりません。宿題は増える一方なのですが。なんか、突然スランプになった感じです。そこでiPhoneなのですが
by dialogue2017 | 2018-04-16 02:00 | 写真論 | Comments(1)